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スキー・スノーボードのオンラインレッスンができる時代に。SAVREQ(サブレック)が生み出す、スキー場の活性化

2022.01.17

長野県及び信州ITバレー推進協議会(NIT)では、県内IT企業のビジネス創出を促すため、令和3年度に「コンソーシアム活用型ITビジネス創出支援事業」により、地域課題解決等に繋がる新たなITシステム開発を支援する取り組みを行っております。

今回は、株式会社 TOSYSが提供するオンラインレッスン機能を組み合わせた新たなサービス「SAVREQ(サブレック)」の実証実験の様子をレポートします。


【目次】
  1. SAVREQ(サブレック)の実証
    1. どんな事ができるのか?
    2. 今までのサービスから進化している点は?
    3. 体験した感想
  2. 実証実験の感想・運用について
    1. オンラインレッスンが可能になる仕組み
    2. スキー場での活用方法
    3. まとめ

SAVREQ(サブレック)の実証 どんな事ができるのか?

SAVREQは、利用者がスマートフォンの操作をし、スキー場に設置されたカメラから利用者の滑りを撮影する事が出来る、AI・自動追尾機能を備えたクラウド型のIoTサービス。 撮影された動画は、利用者が見るだけではなく、スキー教室の指導者へ動画を共有することで、オンラインレッスンも受講できる機能を搭載しています。 「気軽にアドバイスをもらいたい」「レッスンを受けるのは恥ずかしいかも」そんな悩みを持つ利用者だけではなく、滑る時間はガッツリ楽しみ、オフの時間でレクチャーを受けられる……時間を有効活用したい方にも活用してほしいサービスです。

今までのサービスから進化している点は?

前身とも言える「ゲレロク」というサービスを大幅に強化したものが「SAVREQ」です。 従来よりも高性能なカメラとAI(人工知能)による動画解析技術を連携することで、より綺麗な映像とデジタルズームによる自動追尾を実現します。 また、オンラインレッスンを組み合わせたことで、撮影された動画に対して指導者のレクチャーを受講することができます。

体験した感想

令和3年12月22日、菅平高原の裏太郎ゲレンデで実証実験を行いました。 本題に入る前に少しだけ初期設定のお話を。指定のQRコードを読み込み「録画開始ボタン」を押すだけ!操作が簡単で、手袋をしている状況のゲレンデでも操作がしやすいのは利用者にも親切だと感じました。 誰かに撮影を頼まなくても、自撮りをしなくても、ゲレンデに設置された4K高解像度カメラで撮影した動画をAIがデジタルズームで追跡し、自分自身を撮影してくれるなんて、本当にすごいですよね。

上手く撮影ができるか、何度か滑って検証してみます。 スタートポイントまで移動し、WEBブラウザの撮影画面を起動……
▲スタート位置で撮影画面を起動し、録画を開始

滑る直前に録画開始をタップします。あとは、滑るだけ。 普段の滑り方でも良いですし、指導者からのアドバイスをもらう前提で練習したい滑りをしてもOK!

こんな簡単に撮影が終わっているの……?と、不安もありましたが、滑り終えた後にアプリを見るときちんと動画がアップロードされていました。 こんな便利なサービスを体験できるなんて、開発されている方々に感謝ですね。

▲滑走後には録画が完了している
実証にご協力いただいた方々からも、「簡単に撮影ができている!」と驚きの声が上がっていました。 オンラインレッスンに申し込むには、マイページから動画を選択して申し込みボタンをタップするだけで、連携するスキー教室に動画と、教えて欲しいポイントなどを記載したコメントを共有することが可能です。レッスン受講料はオンライン決済を利用してスキー教室に支払われるという仕組みです。 初めにSAVREQサービスを聞いた時の私の感想は、Aiやカメラの技術は進んでいても、自分が滑っている様子を上手く追従できるの……?と、疑問もありましたが、スタート位置の通過を検知して追従する対象の人を判断してくれるようです。 ゲレンデが大混雑していたり、複数人のチームでまとまって滑ってしまうとAIが上手く判断できない時もあるそうですが、滑走エリアをある程度限定し、周りの状況を確認すれば解消できそうでした! 他の利用者さんで混雑している中で、動画を残したい……と、考える方も少ないですもんね。 何より、寒い中、様々な設定やボタン操作しなくても撮影ができ、何本もの動画を残せるので、気軽に楽しめるサービスだと感じました。

実証実験の感想・運用について

場所を変えて、ゲレンデで実証実験した動画を元に、カメラを設置するスキー場の担当者やスキーの指導者、開発者とでディスカッションしていきます。 この日は、 ハーレスキーリゾート営業係長:縵沢(ヌタザワ)さん 菅平スキーハウス取締役:宮下さん SAJナショナルデモンストレーター:津村さん を交えて、TOSYSさんと運用方法などについてミーティングを行いました。
▲左から、縵沢さん、津村さん、宮下さん。実証実験後に使用感や運用方法を議論

オンラインレッスンが可能になる仕組み

実際に撮影された動画を見ると、滑走中の全体の様子だけではなく、動画を拡大することで細かな身体の使い方も判断でき、鮮明に撮影されていることが分かります。
▲4Kカメラで撮影した動画をデジタルズームで拡大して追従します
スキー教室では、オンラインレッスン申込者から送られてきた動画・コメントを指導者がチェックします。
▲オンラインレッスンを申し込む様子

管理画面では、動画時間を指定・コメントすることで、その時の様子と合わせてレクチャーすることができ、利用者がどの場面のアドバイスなのかが理解しやすくなっています。 さらに、ペン機能が搭載されているので、指導者はキャプチャー画像に描画も可能。体の使い方や軸などをペンで書き込むことでも、より部分的なアドバイスができるようです。 驚くことに、音声認識機能と自動翻訳機能が搭載されているため、マイクに向かってアドバイスした音声が、テキストに変換され、更に指定した言語に自動翻訳します……! PC操作はちょっと苦手……といった指導者の方でも、テキストの入力がスムーズに行えます。 また、外国語が苦手な方でも外国人へのアドバイスが行えます。 オンラインレッスンを実現する技術力やサポート力に驚きました!
▲自動翻訳される様子。マイクからの音声やテキスト入力にも対応している

スキー場での活用方法

ディスカッションの中で、「講師による滑走の見本も一緒に利用者に送りたい」「バリエーショントレーニングの動画を利用者に提供したい」といった意見も上がり、より良いアドバイスを提供したい、スキー教室の熱意を感じます。 まずは、多くの方に体験していただくためのイベントや、対面レッスンが受けにくいナイターでもSAVREQサービスを利用していただきたいそうです。

滑走した動画やオンラインレッスンを受けた内容はアプリ内に保管されるため、利用者・スキー教室共に過去の滑りをいつでも閲覧ができます。 気軽に何度も撮影が可能だからこそ、スキー場へ行きたくなる足掛かりができ、オンラインでアドバイスをくれる指導者との対面レッスンも受講しやすくなると感じました。

まとめ

提供サイドの実験・改善により、「利用者が満足できるサービスを提供したい」、「管理・操作が直感的でスキー教室などが導入しやすい」といった三方良しのサービスを開発していく現場を間近で体験することができました。 IoTサービスと聞くと仕組みや取り扱いが難しそうな印象がありますが、ユーザーが操作しやすく満足してもらえる身近なサービスとしたい、開発努力を感じます。 SAVREQサービスは、2022年3月頃にリリースを予定しているそうです。スノースポーツ以外にも、様々なスポーツにも活用できそうですし、今後の進化が楽しみです。